タクシー乗り心地研究会
皆さんはタクシーを利用された際にどんなことを感じておられるでしょうか?
・キレイな車内だなぁ。
・イヤなニオイがしないなぁ。
・清潔感のある運転手さんだなぁ。
・言葉遣いが丁寧だなぁ。
・運転も丁寧で上手だなぁ。
・道も場所もよく知ってるなぁ。
・いつもより早いし安いなぁ。
といったところでしょうか。
良いことばかり7つ並べましたがこの逆があります。
一つ良くない項目があると大半が良くない様にも感じます。
きっとすべて繋がっているということなのでしょう。
「こないだ乗ったタクシー、中はドロドロでクサイは、返事は無いは、運転は荒くて遠回りしようとするはで、もう最悪やった。」
と、よくタクシーを利用する私の知り合いから言われたことがあります。
(うちの会社ではありませんでした。セーフ‼)
私もサラリーマン時代はよく使いました。
「え—っ! 前の信号赤やのに何でここでアクセルいれんの?」とか
「もっと上手にブレーキ踏めへんのかいな。。。」
というのをしょっちゅう思ってました。(もちろん口には出していませんが)
いわゆる「アタリはずれ」が存在するわけですが「アタリ」に遭遇する確率は極めて低い(1割以下)とも感じていました。
私がみていたのは接遇面よりも運転面。
もちろん接遇も大事ですが乗っていて安全・安心が感じられる運転ができるドライバーというのは思いのほか少ないという印象を昔からもっています。
悲しいかなこの道数十年のベテランでも快適な乗り心地を提供できている確率は先に挙げたほどなのです。
運転は目でとらえた色んな情報を脳が判断して手足を使う作業ですから良くも悪くも「クセ」が出てしまいます。
いわば字を書くことと同じ。
脳に深く刻み込まれているので悪いクセというのはおいそれと修正できるものではありません。
それに本人は今の今までこの運転で良いと思っているので、よほどのキッカケがあって本人に改める意志が生まれ、尚かつ相応の指導がなされない限り直せるものではないのだろうと思います。
まさに運転はその人そのもの。
(俗に「あの人はハンドル持つと性格が変わる。」というのはその人の二面性なり本質が運転ぶりに出てくるのだと感じます。)
よってこの文を読んだだけで「そやったんか~。」と感じて直す方はおられないということになります。
(もしも「私できるようになりました~。」という方はぜひお電話下さい。)
とは言え、運転をしてその対価をいただくのですから「お父さん、雨降ってきたし駅まで送って~。」と家族を乗せる時の運転と同じであってはならないのです。
私は乗務もしますが以前から新人さんの教習もしており数多くの運転をみてきました。
のべにして100人は下らないと思いますが「おお!これは完璧。文句のつけようがない。」と思えた方はたった1人。
その運転とは
発進時はクリープ現象を使いながら、アクセルは最初だけ強めに入れて離す。あとはその惰性で転がす。頃合いをみて同じようにアクセルを入れる。
というものです。
私はこれを勝手に「抜く運転。」と呼んでいます。
この逆を業界では「しゃくる運転。」と言われアクセル、ブレーキを交互にガンガン踏めば誰にでも出来ます笑
アクセルをあまり入れないということはブレーキもあまり使わなくていいことに繋がり、
ひいては「いつ発進したか、いつ停まったかわからない。」 といったプロとしての運転になるのです。
タクシーは走らせるのではなく「転がす。」
いつだったか先輩に教わった言葉です。
唯一これが出来ている方に「どこでこれを?」と尋ねたところ
「むかし勤めていたとこの社長から厳しく仕込まれました。」とありました。
わかります。私も同じ境遇でしたから笑
おそらく「なんで前の信号赤やのに云々」、「何回もアクセル入れない!」、「ブレーキをそんなきつく踏まんと最後静かに停まんなさい。」
とかを言われていたに違いありません。
路上教習指導のときは途中から私の運転をみてもらうことにしています。
ある時、トラックドライバーから転職してきた方の運転ぶりをチェックしてましたがあまりにもブレーキが雑だったのでほんの数分で完全なクルマ酔いをしたことがあります。
思わずいつもより、かなり早く運転交代を告げました笑
そして私のブレーキのかけ方をみてもらったわけですが
「もしかしてブレーキペダルを踏まれてないんですか?」ときました笑
「〇〇さん、そんなアホな。さすがに踏まんと停まれませんよ。」
他にも2人の新人さんが乗ってましたが極端な違いにみな驚いてました。
(ホンマにわかってくれたんかな? それより早めに運転代わっといて良かった~笑)
丁寧かつ上手な運転、それはブレーキワークに集約されるものと確信しています。
大きいトラック運転の経験者はおしなべてアクセルが強い傾向があります。
セダンタイプと違い、アクセルを入れないと走らないからですがタクシーはそうではないのです。
そして私は出来るだけブレーキを使いたくもなければ、停まりたくもないのです。
暑い日が続いてるので、ついにおかしな事を言い出したと思われましたか?笑
これはどういうことかと言うと前方が赤信号のときは速度調整をして完全に停まることなく進行することを指しています。
(これを実践するには後続の状況を絶えずみておく必要があります)
ある時この運転に気づいた若い男性のお客様に「へーっ、こんな走り方するタクシー初めてです~。メチャおもしろ—い。」と言ってもらいました。
いかにお客様にG(重力)を感じさせることなく、同時に「快適な乗り心地。」だと感じてもらい、スルスルスル~、ピタ―ッと目的地に送れるか
といったことを新人さんに指導しつつ、強いプロ意識を持ってもらえるようこれからも頑張っていきます。
掛見
・その人の運転ぶりから実にいろんなことがわかるように感じます。
特に異性に対しての接し方は見事なまでにリンクしていると。まあこれも多面性があろうかとは思いますが。