時代は変わる ~Taxi Goes Next~
私たちの仕事は一般的に職種を「乗務員」、業種を「一般乗用旅客自動車運送事業」とされています。
実際に携わっていると「接客業」の色合いが濃い職業であると思います。
接客をしながら運転をするという仕事です。
両方しなくてはなりませんのである種、器用さが求められます。
一昨年末ごろよりアプリ配車が徐々に幅をきかせてきました。
(都タクシーグループは「GO」という配車アプリからの注文が全体の約1/3を占めます)
この配車アプリの出現により、これまでの営業スタイルは一変したと言えます。
内容を手短に申しますと、アプリからの配車を受けるとお迎え先、行先が出て、それぞれのルートが車載のタブレットの地図画面に表示されます。
(画像は2つともユーザーの携帯画面)
あと乗務員はそこに出るナビゲーション通りに運行すればいいのです。
注文側は携帯画面で決済まで行なうことができます。
ぜひこのアプリを取得して、体感してみて下さい。
特に流しが拾えそうにないエリアやタクシー会社に何回電話してもつながらない時には抜群の威力を発揮します。
都タクシー無線局からの配車(=無線配車)もやはり1/3を占めますが、こちらもアプリ配車に準じた地図画面の表示になって便利になりました。
以前のお迎え先の「誘導文」はと言うと下記の様に文字だけだったのです。
【国道城南宮】西 2信号北 1信号東 1筋目北 東側6軒目
これはまだイージーなほう。
【久我橋西詰】信号西 3筋目南 二又西 路地を入れて3北 1東 南側3軒目
呪文か暗号のようです笑
この「誘導文」を読んでお迎えにあがるわけですが、これだけでひと仕事といった感じです。
西を東に行ったり、3筋目なのに2筋目を曲がったりなどのミスは日常的に起こります。
(私も数え切れないほどしました)
その点、現在はこういった労力が省かれて、お迎えにも目的地にも行けてしまうのですからスゴイとしか言いようがありません。
(注文側の意向で行先は乗車してからというパターンは存在します)
私は「出来る限り迅速にお送りする。」というのを信条としています。
目的地に早く着いて、より安い運賃で怒る方はおられません。そして次の仕事にかかることができます。
もちろんアクセル全開でぶっ飛ばすのではなく目的地を聞いてから最短最速のルートを選択して運行することを旨とします。
しかしアプリ配車においては自身の知識を挟める余地はほとんどありません。
タブレット画面に出ているルート通りに運行するのが基本ルールだからです。
AIによる最短ルートが出されているものの、まだ職人であり続けたい自分が「これより良いルートがあるんじゃないか。」と頭をもたげてくるのです。
(*示されたルート上で渋滞や通行止めがある場合等は変更できます)
見方を変えると、これまでの仕事のやり方だけでは売上確保ができない環境になったと言うことです。
いまタクシーの需要は低調の域をでませんが、そんな中でもそれなりに売上確保されている方がいます。
そういった方たちはおよそアプリ配車、無線配車を拾えるエリアを起点とした動き方をしているようです。
いわゆる「流し」は二の次、三の次、どうかすれば眼中になどないといった感じです。
コロナ前は市の中心部、京都駅周辺で流しでの乗車はまだそれなりに見込めましたが今はかなり厳しい状況です。
悲しいかな流しだけでコンスタントに稼げるという時代は完全に過ぎ去りました。
便利になっていく一方、これまで積み上げてきた知識やノウハウがべりべりと剥がされていく虚無感、喪失感のような思いもあります。
おそらく「何かもの足りない。」、「本当にこれでいいのか。」という自問自答をしている乗務員も少なくないでしょう。
しかしこれも時代であり、その時流にうまく乗じていかなければ生き残っていけないと思うようになりました。
この先、アプリによる配車率が上がっていくのは間違いないところです。
最近ようやく動き出したワクチン接種のことが順当に運び、多くの方が動きだしたときに、あらゆるリクエストに応えられるよう、そして数多くのお客様のお供ができるよう対応力向上に励んでいこうと思っております。
掛見