タクシー乗務不思議体験
タクシー乗務と言うのは一期一会の仕事であると日々実感していますが、その中でも不思議と思えることがいくつかあります。
全部ではありませんがその一部をご紹介したいと思います。
【1.レアなリピートオーダー】
以前夜勤をしていたときのことです。
祇園から宇治方面にお送りしたあと幹線道路で祇園に戻る途中、近鉄伏見駅付近で女性(1人)が手を挙げられました。
こんな時間帯(0時すぎ)にこんな場所で乗ってもらえるとは珍しいと思いつつも「大阪の深江橋まで」と受け、嬉々として車を走らせたということがありました。
そして翌日もだいたい同じ時間帯に同じ伏見で今度は無線配車です。そして女性1人が乗られてからの第一声は「大阪の深江橋までお願いします。」
もうこれを聞いた瞬間は嬉しさよりもドキッ!としたことが上回りました。
(最初ゆうべの方かなと確認しましたが全くの別人でした)
降りられたポイントも昨晩とさほど離れておらず、いつまでも狐につままれた感じが抜けませんでした。
これが京都府下だったり、滋賀県の大津・草津、大阪の枚方・高槻あたりなら2日続きで行くことはさして珍しいことではありません。
しかし大阪の、しかもあまり聞くことのないポイントに2日続けてというのはさすがにこの時だけでした。
周りの仲間に言うと「そら珍しいやんか。」で終わるのですがそれにしても不思議な体験でした。
【2.お客様が連れてきてくれた?】
昨年11月はGo Toで京都の観光も賑わいをみせ、我々もその恩恵にあずかっていました。
中旬に関東某県から来られた職場仲良し4人組(レディースです)のご案内を3日間させていただき、最終日に京都駅八条口でお別れさせていただきました。
私は観光が終わると駅至近のコンビニで一服する習性があり笑、買い物をして車外にいたところ交差点の向こうから何やら視線が…
男性1人女性3人で大きなスーツケースも見えます。まごうことなき観光の方です。
もしかして私のタクシーがミニバンなので乗りたいのか…?と思いしばらく様子をみることに。
まもなくその一行が私の方に向かってきます。(おお~、睨んだ通り どうぞどうぞ)
とすると車を一瞥しただけでスルーしていくではありませんか。(えぇ——っ!どういう事?)
その先のホテルに入っていかれたのでした。(じゃぁ10分近くも交差点で何してたん?)
気を取り直して営業を再開するべく出発しようとしたその時、一行が再び目の前に!!
「〇〇ホテル京都駅前までこの車で行けますか?」 中国系らしき女性がカタコトで尋ねてこられました。
どうやら同系列のホテルに間違って来られたようです。
(日本人でも間違えやすい名称です。〇〇ホテル京都駅前、〇〇ホテル京都八条口)
もちろんお乗りいただいたわけですが「ホテルに荷物を置いてから嵐山と伏見稲荷に行けますか?」ときました。
さすがに15時前だったので「今からですと片方だけなら可能です。」と伝え結局嵐山へ。
さらに車中で「では明日も1日観光できますか?そしてあさっての朝に大阪の梅田まで送ってもらえますか?」
果報はタイムラグでやってきました。 私の予定もちょうど空いているではありませんか。
と言うことで2日目は永観堂、南禅寺、清水寺、伏見稲荷などをまわり3日目無事大阪のホテルまでお送りしました。
ここまででも十分不思議なのですが極めつけがあります。
話をしていると、先の3日間案内したご一行と今回の女性のお連れ合い(この旅行にはついてこられず)が同じ職場であることがわかったのです。
(守秘義務があるのでこれ以上踏み込みませんでしたが)
八条口でお見送りしてから15分後に、250mしか離れてない場所で、先客様とつながりのある方にお乗りいただいてるのですからこれはもう偶然という言葉では追いつきませんし片づきません。
それにいくらGo Toで観光の方が多いからと言っても、流しのお客様から3日連続貸切の仕事が舞い込むことなどまずあり得ないことです。
さらには私の予定が空いているところにスッポリ収まるなんてことはもう神がかってるとしか言いようがありません。
(もし何かしらの予定が入っていれば提携会社も満車とわかってましたので断らざるを得なかった状況でした)
すべてが最高のタイミングでやってきたということです。
まるで先のお客様から「はい、次はこの方達をよろしくね~。もっともっと仕事するのよ~」と言われているかのようでした。
【3.予知能力】
ある日京都駅前から流しで「洛西ニュータウンまで。」とあり、序盤にツイてるなぁと思いながら走っていました。
5分くらいたってからでしょうか。とつぜんあることが頭にポーンと浮かんできました。
「洛西ニュータウンで降りられたあとすぐにその近くで無線配車が入り、上賀茂まで行く。」と。
へ~、ナンデスカ、ソレハ~。。。です。しかしこの何の脈絡も根拠もない絵空事がほぼ現実となるのです。
ご降車後数分後に無線配車が入ります。この時点で(もしかしたら…いや、さすがにそれはないか)
一戸建てのお宅から年配の女性1人が乗られます。
(たぶん桂駅かな。この辺からのパターンやしなぁ)
すると「ちょっと遠くで悪いんですが新町六間(ろっけん)までお願いします。」
もう口から心臓が飛び出しそうでした。ひょっとしたらチョット出てたかもしれません。
もうほとんど上賀茂です、そこは‼
なぜ唐突に上賀茂と浮かんできたのか。
市内中心部と浮かぶのなら何ら不思議なことではありません。しかし上賀茂なのです。
もしかして自分はすごい予知能力をもった人間ではないのかと家族や仲間にも言いまくりました。
しかしそれからと言うもの、こんなことが再び起こる事などありませんでした笑
それにしても生涯忘れることのない不思議な出来事三選でした。
いずれにも共通するのはタイミング、重なりと言ったものになりますが人によっては単なる偶然、「棚ぼた」と映るでしょう。
しかしながら、その棚の下にいなければ牡丹餅はとれないということを痛感できた体験でもあります。
それとこの先AIがどれだけ発達しようともこんな事は真似できないだろうと絶対的な自信をもっています。
仮にAIによる観光案内ができたとしても、そこに人間同士の機微など入り込むことはありません。
人が人をもてなすことにこそ意義があるのだと。
特に2なんかはハッ!と感じて待ったからこそご縁をいただけたこと(もうチョットで行きかけましたが)なので、このような事がAIに出来るもんならやってみなと言う思いがAI報道を聞くたびに増幅していきます。
私が現役のあいだは対抗心を持ち続けて仕事にあたりますのでどうかご期待下さい。
よく言われるところの「科学とかでは証明や解明できないことがある。」という事象が我々の仕事にも少なからず存在します。
そして「タクシーの神様」も存在します。
そう信じつつ、これからも多くの方に喜んでいただけるよう努めて参りたいと思います。
AIなんかにゃ負けませんよーっ!!
掛見